いつも結末では主役は結ばれる、か死ぬか
アーサイトは世界のためであってもパラモンを殺すことができないと自ら命を差し出すし、エミーリアはフラヴィーナ無き世界は死も同然と兄に死を願う。
あのシーンが一番象徴的な気がする。アーサイトはエミーリアを、エミーリアはアーサイトを愛しているけれど、互いに明確に、優先順位が別にある。アーサイトはパラモンを、エミーリアはフラヴィーナを。そういう世界はとても、良いと思う。ナイツテイルが好きな理由かもしれない。愛とか名誉とか結婚とか、話の中には出てくるけど。大切なのはそれだけじゃなくて、だいすきで憎み合って競争してばかりの大切な従兄弟や、幼き日に心を埋めてくれた友が。なによりも、誰よりも、自分の命より大切だと口にしても良い世界。
芳雄くんがカーテンコールで、「今は現実も物語も、大変なものがある。もちろんそれを知ることも大切だし、素晴らしいけど、こんなお話があるのも良いと思う」といったことを口にしていた。わたしは本当に、芳雄くんの気持ちに深く同意する。ふたりの叔父貴は残酷でどうしようもない人物ではあるが、それを除けば概ねお馬鹿な(これは光一さんが言っていたので公式だ)ふたりの冒険や脱獄や恋の話。
アリーナライブと名付けられたこの形式は、どこかの幕間で光一さんがスタッフさんの知り合いが言っていた、というように。ト書きを演者が口にする。これがとてもわかりやすく、そして新鮮である。
初演も再演もそれなりに通ったはずだけど、パラモンがあんなに初めからフラヴィーナに惹かれていたとは知らなかったし(森に逃してくれたあたりかと思っていた)、アーサイトだけが追放されるときの「逃げろ兄弟、ふたりのために」は「ふたり(パラモンとエミーリアの未来)のために」だと思っていた。あそこ、仲の良いいとこに戻る、だったとは。
ちなみにわたしはあのシーンの、「君のパラモンに忠実であれ、大切ないとこ」「ああ、君がアーサイトに、深く忠実であるように」が大変にすきだ。途轍もなく。写真がほしい、と毎度思う。SHOCKのステージフォト制度を導入してほしい。
概念としてお互いのなかにいるであろう自分の姿に忠実であれ、って言うの、大変にオタクに刺さる。ぐさぐさ音が聞こえる。オタクはいつだって自分のなかの偶像を大事に大事になんとか生きているから。
アリーナライブの形式も素敵な魔法だった。地方公演もいつかあったらうれしい。そしてまた、劇場でふたりの騎士に会える日が訪れますようにと、祈る。
光一さんがこの素敵なカンパニーで、芳雄くんの隣でスポットライトを浴びている事実にたまらなく泣きそうになる。アイドルが帝劇にって蔑ませたあの日のはなしを、笑い話として話してくれるけれど、未だ心臓の深い深いところで抱えているだろう光一さんが、芳雄くんと歌っているなんて。
芳雄くんは光一さんのことを、同期の演劇仲間だと思ってくれている。それ以上でもそれ以下でもない。ただ同じだけ、同じように背負い、劇場に立ち続けてきた戦友。パラモンとアーサイトのように(「私たちはとても平和です」と光一さんが言っていた、競争心に溢れてはいないというのは聞かずともわかる)。
光一さんがアーサイトでなければ、パラモンとフラヴィーナの話なんだろうな、と思う。アーサイトとエミーリアは本筋ではない。物語で一番大切な人物は、最後に登場する牢番の娘だ。それでもこれは騎士物語。カーテンコールで当て書きだと聞いて納得した。これは光一さんと芳雄くんに、書かれた物語。
ここでまた、胸が詰まる。光一さんに芳雄くんの隣に立つ舞台が認められている事実に。いつまでも気にしているのはオタクだけかもしれない。カンパニーだってみんな、光一さんのことを特別視してない。だけどわたしにとって光一さんは何にも代え難い最高の偶像だから。演劇の神様にも愛されてしまえるなんて、そんなことが許されるのかと考えてしまう。それをナイツテイルのカンパニーは、当然だと受け入れてくれる。だから光一さんはステージ上で口にしたんだ。なんのためらいもなく。ナイツテイルのカンパニーは、みんなナイツテイルがだいすきだから! って。ああ、なんてしあわせなんだろう。ステージの真ん中でスポットライトを浴びているだいすきなひとが、こんなに沢山の仲間に囲まれている。
この世から消えてくれこの手を取ってくれ、と歌うアーサイトとパラモンがだいすきだ。だいすきで憎み合って競争せずにはいられなくてエミーリアとフラヴィーナに呆れられながら一生一緒に生きてほしい。
一年前の今日は、梅芸にSHOCKを観に行っていた。
SHOCKがないこれからがどうなるか不安だった。
不安も喪失感も未だに消えはしないけれど、一年後はナイツテイルのライブがあって、チャリチョコの再演も発表される最高の日になるよって。相変わらず光一さんをだいすきでしあわせだよ、って。
一年前の自分に言ってあげられることが、わたしは今、とてもうれしい。
光一さんのことがだいすきで、今日もとてもしあわせです。
光一さんの日々も、しあわせで満ち溢れたものでありますように。祈るしかできないから。わたしは全力で、今日も祈る。だいすきな光一さんが、しあわせでありますように。
